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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル アニキャラ総合板のSSスレ「リリカルなのはクロスSSスレ」から派生したロワ企画。 概要 2008/02/21、元作品のはずのリリカルなのはキャラが少ないのではという議論になり、増員が決まった。 2008/04/02、一部参戦作品の元SSが削除される事になり、そのためリスタートの議論が行われる。 リスタート議論終了後は、参加作品・参加者の全てを見直し、リスタート後の企画が進行中。 諸事情により、途中からしたらば進行へと移行。 2011/02/15、最終回が投下され完結を迎えた。 台詞の中でのみ登場した人物を含めれば、無印~StSまでのみならず、 SOUND STAGE X、Force、ViVid、A s PORTABLE、更にはTHE MOVIE 1stと、 リリカルなのはの全媒体からキャラクターが登場したことになる。 特徴 参加者・主催者・支給品の全てが本スレのSSからの出展なのが特徴。 そのためSSに合わせて設定が変わっている例もあるが、把握は本スレのSSを読めばだいたい可能。 また本スレのSS職人が参加しているので、ある程度の投下ペースも保てている。 なおクロス元が多種多様なので、参戦作品のジャンルが非常にカオスである。 全体的には、リリカルなのはの名に恥じない熱い戦いが多くの割合を占めている。 総じてマーダーのキャラが濃く、ある者は愛する人を生き返らせるために、ある者は復讐を果たすために、ある者は己の存在意義を貫き通すために、真っ向からぶつかり合っていく。 一方、リリカルなのはの主人公・なのはを筆頭とした対主催キャラは、それに反していまいち不甲斐ない者が多い。 また書き手諸氏が揃いも揃って自重知らずなのか、序盤から数多くのエリアが壊滅している。 主催者 プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは 参加者 10/10【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 高町なのは(sts) / シャマル / ザフィーラ / スバル・ナカジマ / キャロ・ル・ルシエ ルーテシア・アルピーノ / ヴィヴィオ / クアットロ / チンク / ディエチ 4/4【魔法少女リリカルなのはA s】 高町なのは(A s) / フェイト・T・ハラオウン(A s) / シグナム / ヴィータ 5/5【リリカル遊戯王GX(遊戯王デュエルモンスターズGXとのクロス)】 ティアナ・ランスター / 遊城十代 / 早乙女レイ / 万丈目準 / 天上院明日香 4/4【NANOSING(HELLSINGとのクロス)】 アーカード / アレクサンド・アンデルセン インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング / シェルビー・M・ペンウッド 4/4【コードギアス 反目のスバル(コードギアス 反逆のルルーシュとのクロス)】 ルルーシュ・ランペルージ / C.C. / カレン・シュタットフェルト / シャーリー・フェネット 4/4【魔法少女リリカルなのは マスカレード(平成仮面ライダーシリーズとのクロス)】 天道総司 / 相川始 / キング / 金居 3/3【仮面ライダーリリカル龍騎(仮面ライダー龍騎とのクロス)】 八神はやて(A s) / 浅倉威 / 神崎優衣 3/3【デジモン・ザ・リリカルS&F(デジタルモンスターシリーズとのクロス)】 エリオ・モンディアル / アグモン / ギルモン 3/3【リリカルTRIGUNA s(TRIGUNとのクロス)】 クロノ・ハラオウン / ヴァッシュ・ザ・スタンピード / ミリオンズ・ナイブズ 3/3【なの☆すた nanoha☆stars(らき☆すたとのクロス)】 泉こなた / 柊かがみ / 柊つかさ 2/2【なのは×終わクロ(終わりのクロニクルとのクロス)】 新庄・運切 / ブレンヒルト・シルト 2/2【リリカルなのはStrikerS 片翼の天使(ファイナルファンタジーⅦシリーズとのクロス)】 セフィロス / アンジール・ヒューレー 2/2【魔法妖怪リリカル殺生丸(犬夜叉とのクロス)】 ギンガ・ナカジマ / 殺生丸 2/2【L change the world after story(L change the worldとのクロス)】 ユーノ・スクライア / L 2/2【ARMSクロス『シルバー』(ARMSとのクロス)】 アレックス / キース・レッド 2/2【仮面ライダーカブト(劇場版仮面ライダーカブトとのクロス)】 フェイト・T・ハラオウン(sts) / 矢車想 1/1【ゲッターロボ昴(新ゲッターロボとのクロス)】 武蔵坊弁慶 1/1【魔法少女リリカルなのは 闇の王女(劇場版機動戦艦ナデシコとのクロス)】 ゼスト・グランガイツ 1/1【小話メドレー(クロス短編集。うち、ONE PIECEとのクロスネタより)】 エネル 1/1【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは(ウルトラマンメビウスとのクロス)】 ヒビノ・ミライ 1/1【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS(ゴジラFINAL WARSとのクロス)】 八神はやて(sts) 60/60 外部リンク 支援サイト リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル@ウィキ リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル専用したらば掲示板 スレッド リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ2 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ3 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ4 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ5 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ6 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ7 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ8 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ9 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ10 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ11 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ12 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ13
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概要 オオヤ魔界の峡谷に存在する、 工業地帯に栄える“科学と魔法の聖地”。 「魔法少女リリカルなのは」の「ミッドチルダ」の ような町並みである。ここまで Cake氏はなのはにハマってんだな…。 その名の通り、聖王マリマリやゴ・ゴン・ゴー等の 機械系フレンズやバリアジャケットを装備した フレンズが主に出身する。 ユートのおじいさんはこの責任者だったという噂も。 嘗ては小規模な組織だったが、技術の進歩から強力なフレンズ達が 生み出される様になり、現在では伝説のフレンズに マークされる程の一大大勢力へと成長を遂げた。 ストライクアーツ・アドベンチャーでは ミッドチルダリリカル科学工業地帯が存在する。 歴史 草創期には既存のフレンズを改造したバリアジャケットフレンズが 主だったが技術の未熟さ故、ゴ・ゴン・ゴーの思考回路や 最新フランケンの暴走、聖王マリマリの闇落ちの多くの 問題が堆積しており、決して幸先の良いスタートアップでは 無かった。検索サイトのサジェストに 「リリカル科学工業地帯 ひどい」と言葉に出されることに。 だが、その後の研究者達の努力によりそうした諸問題は克服され、 負荷に耐えて正常で正義の心を持つ聖王マリマリ、思考回路の 問題を解決した最新人間ゴ・ゴン・ゴー等、 肉体や頭脳の安定したフレンズを生み出す事に成功する。 其処からやがてマシーン型、バリアジャケット型フレンズが徐々に 世界中に広まって行き、“企業”と呼ばれる程の勢力へと成長。 その矢先に突然の転機が訪れる。 意図は不明だが伝説の勇者が接触し、自陣に勇者型フレンズの データを提供して来たのである。 これを受けてリリカル科学工業地帯は、 「勇者と機械の融合」と言う技術革新を迎えた。 こうして生み出されたのが対空迎撃用のメガガールと ギガガール、対地迎撃用のトゲボーグ、そして 水中迎撃用の魔法少女ルキアが開発され、これら陸海空の バリアジャケット型フレンズによる兵力を背景に急激に勢力を 拡大。そこからやがて、当時の科学の粋を集めた最高傑作として リリカルドラゴンを生み出すに至った。 尚、最近では進歩した技術を活用してサイバードラゴン、 魔法少女ルキア+等、既存のフレンズの強化体を生み出している。
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領主、なのは様! 著者:キッド 2009年6月14日 更新> 作品の紹介 リリカルなのはであってリリカルなのはでない、別の時空。 ある公国の領主様・・・・なのは様は大臣のアリサに向かって、 とんでもないことを言い出しました。 その一言が、公国全土を巻き込んだ大騒動に!? なのは様が更なる幸せを掴むため、 愛と欲望の名の下に繰り広げられるサクセスストーリー! 領主なのは様、はじまります! 領主、なのは様!1~3-2までUP済み 2009/6/14 領主、なのは様!3-3をUP The Earth ~この大地を踏みしめて~
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スレ住人の皆様 その他単発SS・一発ネタ 108氏 無題(仮) クロス元:エースコンバット リリカル龍騎の人 ◆l5ZL/l4pJY 無題(仮) クロス元:PAPUWA 294氏 無題(仮) クロス元:メタルギアソリッド 387氏 無題(仮) クロス元:ダンクーガノヴァ 414氏 無題(仮) クロス元:銀魂 二代目スレ43氏 無題(仮) クロス元:キン肉マンⅡ世 二代目スレ93氏 リリカルなのはと地球防衛軍のクロス 二代目スレ139氏 リリカル悪魔将軍 二代目スレ152氏 無題(仮) クロス元:真説魔獣戦線 二代目スレ155氏 無題(仮) クロス元:ウルトラマンA 二代目スレ215氏 ゲゲゲのアリサ 二代目スレ258氏 魔法少女探偵団 二代目スレ269氏 無題(仮) クロス元:ポンキッキ 二代目スレ282氏 嘘予告ゲゲゲのアリサ第○話 二代目スレ284氏 一発ネタ 白い魔王VS紫の狂人 リリカル犬狼伝の中の人氏 リリカル犬狼伝説(単発) なのはVSボウケン氏 ドラえもん のび太と虹の魔法使い(仮) 二代目スレ400氏 無題(仮) クロス元:ヤットデタマン 三代目スレ23氏 ジョジョクロス 三代目スレ33氏 リリカル忍法帖 クロス元:甲賀忍法帖 三代目スレ49氏 魔砲少女と喧嘩ヤクザ 三代目スレ64氏 沈黙の魔法少女リリカルなのは 三代目スレ65氏 ヴィータがオフ会に行った 三代目スレ97氏 式神の城 x 魔法少女リリカルなのは 三代目スレ132氏 ジャングルはいつもハレのちグゥ リリカル 三代目スレ238氏 無題(仮) クロス元:第三次スーパーロボット大戦α 三代目スレ289氏 魔法少女&スーパーロボット大戦D 三代目スレ374氏 一発ネタ クロス元:ゼロ 三代目スレ376氏 一発ネタ返し(374氏の続き) 三代目スレ394氏 さらに一発ネタ返し(376氏の続き。おそらくこれでラスト) 三代目スレ443氏 ナノハ2 レギオン、来襲 なのはVSボウケン氏 無題(仮) クロス元:彼岸島 三代目スレ527氏 浦安鉄筋家族(無印)12巻参照 四代目スレ301氏 無題(仮) クロス元:ジョジョの奇妙な冒険 四代目スレ368氏 戦国なのは リリカル犬狼伝説氏 騒乱勃発! 四代目スレ505氏 無題(仮) クロス元:ジョジョの奇妙な冒険 四代目スレ551氏 なのは FINAL WARS 四代目スレ568氏 無題(仮) クロス元:スレイヤーズ リリカル犬狼伝説氏 無題(仮) クロス元:ARMS リリカル犬狼伝説氏 無題(仮) クロス元:スプリガン 四代目スレ580氏 ゴールド・エクスペリエンス 五代目スレ5氏 無題(仮) 四代目スレ580氏 ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム 五代目スレ56氏 無題(仮) クロス元:永夜抄、エースコンバット0 五代目スレ59氏 クロス:マルドゥック・ヴェロシティ 五代目スレ62氏 ショウジョタチのツバサ ~The Angels~ 五代目スレ74氏 アーマード・なのは 戦う理由 リリカルなのは×覚悟のススメ氏 リリカルなのはStS×アーマードコア・ラストレイヴン 五代目スレ92氏 無題(仮) 五代目スレ104氏 ウサギ村@ANUBIS×リリカル 五代目スレ163氏 東方リリカル塚 五代目スレ174氏 製作者の視聴者とふれ合う質問コーナー クロス元:銀魂 五代目スレ263氏 仮面ライダー斬鬼 嘘予告 五代目スレ265氏 無題(仮) クロス元:機甲都市伯林 五代目スレ284氏 真・ヴォルケンリッター 五代目スレ433氏 無題(仮) クロス元:サモンナイト2 リリカル犬狼伝説氏 無題(仮) クロス元:HELLSING 五代目スレ565氏 無題(仮) クロス元:スーパーロボット大戦 五代目スレ566氏 無題(仮) クロス元:ONE PIECE 六代目スレ83氏 無題(仮) クロス元:HELLSING 六代目スレ103氏 無題(仮) クロス元:メタルウルフ 六代目スレ335氏 無題(仮) クロス元:金色のガッシュ 83な人氏 エスパニアン皇帝グラフツラー なのはVSボウケン氏 MACROSSリリカル7 節制の14 ◆6EgzPvYAOI氏 『魔法中年アヴェンジャるでる』予告編 七代目スレ155氏 魔法少女リリカルなのはAs×ザ・グレイトバトル予告編 七代目スレ185氏 地獄に落ちた高町なのは 七代目スレ295氏 魔法少女刑事 節制の14氏 リリカルマスターなのは 七代目スレ424氏 続・一発ネタ クロス元:食いしん坊 七代目スレ441氏 続・一発ネタ クロス元:食キング 七代目スレ456氏 無題(仮) クロス元:孤独なグルメ 八代目スレ281氏 魔導師クロノ無謀編? 八代目スレ303氏 無題(仮) クロス元:ARMS 八代目スレ620氏 魔法(?)大統領 リリカル・ウィルソン ストライカーズ なのはVSボウケン氏 ロマンシングサ・ガ2クロス予告編 なのはVSボウケン氏 ゼーガペインクロス予告編 九代目スレ29氏 無題(仮) クロス元:仮面ライダー電王 九代目スレ49氏 無題(仮) クロス元:星のカービィ 九代目スレ200氏 CastleVorken 九代目スレ512氏 ヴァイス強化計画 十代目スレ300氏 ジャイアント・ロボvs魔法少女リリカルなのは the StrikerS ~時空の静止する日~ 十代目スレ642氏 スクウェア作品一発ネタ 十代目スレ656氏 魔王少女リリカルなのはPARANOIA 十一代目スレ6氏 A sの願い リリカルなのはStS×覚悟のススメ氏 リリカル絢爛舞踏祭 十一代目スレ193氏 無題(仮) クロス元:デスノート リリカル犬狼伝説氏 無題(仮) クロス元:デモンベイン 十一代目スレ362氏 無題(仮) クロス元:アーマードコア 十一代目スレ366氏 SSじゃないけどなのは格ゲー妄想 節制の14氏 七人の魔法少女 十二代目スレ8氏 無題(仮) クロス元:WizardryXTH TOPページへ このページの先頭へ
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二次創作や転載をしたいのであれば、まずは本人に連絡を取ってみることをお勧めします。 「○○さんは勝手にやってオッケーって言ってたから、この人もオッケーだよね」という考え方は 全く通用しません。 連絡を取るならば、Twitterで探すか、もしくは本人のホームページがあるならそこから。 ニコニコのアップロードユーザーの情報を見ると連絡先がわかることもあります。 連絡が取れなかった場合、無断で色々やることはお勧めできません。 というのも、権利者に無断で二次創作や転載をすると言うことは、突然消されたり、裁判を起こされたりしても 文句の言えないことだからです。 運が良く、相手が黙認してくれる人だったら何も起きないかもしれませんが、それでも「炎上したくないから仕方なく黙認」 のように、相手からは良く思われないケースも多いです。 本当に作り手のファンであるならば、作り手の感情をまず考えましょう。 そして、二次創作に手間をかける時間とやる気があるならば、作り手に連絡を取ることにそれを回してもいいのではないでしょうか?
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研究室の中で、スカリエッティは複数のモニターを前に座っていた。 映し出されている映像は、彼の最高傑作ゾディアック・ナンバーズが次々と敗北していく姿。しかし、スカリエッティは動揺を感じさせない冷徹な眼差しで、モニターをじっと観察していた。 「トーレとクアットロの様子は?」 スカリエッティは通信画面越しにウーノに話しかける。 『現在、敵の追跡を受け、帰還がままならない状況です。通信をつなぎますか?』 スカリエッティが頷くと、画面に新たにトーレが映し出される。姿を消して逃走しているクアットロは音声のみだ。 「二人とも、問題は?」 『機械に損傷はありません。正常に作動しています』 トーレが掠れた声で答えた。 自制心の強いトーレが疲労を隠し切れないのだから、フェイトの一撃が相当に堪えたのだろう。 トーレがタウラスの聖衣を失わずに済んだのは、偶然によるところが大きい。グレートホーン・インパルスで突進の勢いを削いだのは確かだが、もしフェイトが腹部ではなく機械のある胸部を狙っていたら、あるいはトーレの体格がもっと小柄だったら機械は砕かれていた。 『申し訳ありません、ドクター。こっちは積尸気冥界波が使えなくなってしまいました。戻り次第、修理をお願いします』 廬山昇龍覇にやられてからというもの、機械が不具合を起こしていた。直撃を避けてもこれだけの影響を及ぼすのだから、ドラゴンの奥義がいかに恐ろしいかよくわかる。 「積尸気冥界波は扱いの難しい特殊な技だからね。聖衣が無事だっただけでも、よしとしよう」 『乙女の柔肌に痣をつけるなんて、あの男、次の機会には八つ裂きにして差し上げますわ!』 敗北したのが余程屈辱だったのだろう。クアットロは憤懣やるかたない様子だ。 スカリエッティは二人との通信を終えると、ウーノに指示を出す。 「ガジェットの発進用意をしてくれ」 『妹たちの撤退支援ですね?』 「そうだ。ここの防衛に一部残して、残りは支援ついでに適当な町でも襲わせてくれ」 『わかりました』 アジトの地下で、ずっと眠っていた兵器群に光が灯っていく。 対時空管理局用に数だけは揃えている。AMFの意味がない聖闘士たちが相手でも、時間稼ぎくらいなら出来るだろう。 それでも修理の時間まで確保できるかどうかは怪しい。この場所にも徐々に敵が接近してきているのだから。 スカリエッティの顔に歪な笑みが浮かんだ。 「ああ、後少しだ。もうじき私の夢が叶う」 事ここに至っても、スカリエッティは自らの夢の達成を微塵も疑っていなかった。 広い湖の上で、シグナムは敵を迎え撃つべく待機していた。 「すまないな、アギト。不満はあるだろうが、まずはこちらの任務に付き合ってくれ」 シグナムは隣のアギトに話しかける。 本来ならドゥーエの対処をするはずだったのだが、今のところ所在が確認されていない。 「いないもんはしょうがねぇ。こいつを倒してあぶり出してやるぜ」 シグナムとアギトがユニゾンする。シグナムの騎士服の上着が消失し、背中に四枚の炎の羽が出現する。 「あなたが、わたしの相手ですか」 カプリコーンの聖衣をまとったディードが、湖の端に到達する。ディードの両手には、赤い光の刀身を持つ双剣が握られていた。前回の戦闘では使われなかったディードの固有武装ツインブレイズだ。 「そうだ」 頷き、シグナムが左手を開く。掌の上には、ゼストの形見の指輪が乗せられていた。 『旦那』 「騎士ゼスト、あなたの魂をお借りする」 指輪が輝き、形を変える。柄を縮め、まるで短刀のような姿になったゼストの槍を、シグナムは逆手に構える。 「エクスカリバー!」 ディードがツインブレイズを使い聖剣を放つ。 それよりわずかに早く、ゼストの槍がフルドライブを発動させる。急加速したシグナムの真横を走り抜けた斬撃が、湖を割り大量の水しぶきを上げる。 エクスカリバーの威力を目の当たりにしながら、シグナムは不可解そうに眉を潜めた。 「一つ尋ねるが、エクスカリバーは手刀を使って放つ技ではなかったか?」 カプリコーンの黄金聖闘士は四肢を刃のように研ぎ澄ませる。中でも手刀は、聖剣の名にふさわしい切れ味を誇る。 「ドラゴンに手刀の切れ味が悪いと指摘されましたので、武器で補わせていただきました」 「…………剣を使ったのは、それだけの理由か?」 「はい。どのような形であれ、技が使えるなら問題ないでしょう」 「ほう」 口調こそ穏やかだが、シグナムの瞳が獲物を見つけた猛禽のように鋭くなる。 『シ、シグナム?』 ユニゾンしているアギトが、シグナムの変化を感じ取り、やや怯えた声を出す。 「実はな、私はお前の相手はドラゴンに譲るべきかと思っていたんだ」 カプリコーンの黄金聖闘士シュラは、強大な敵として青銅聖闘士たちの前に立ちはだかった。しかし、紫龍の覚悟に打たれたシュラは最後に改心し、諸共に死ぬはずだった紫龍を助け、たった一人で死んでいった。紫龍にとって恩義のある相手だ。 「だが、私にもお前と戦う理由ができた。お前は聖闘士でも騎士でもない。お前に聖剣を扱う資格はない」 「私の技に不満がおありですか?」 「大ありだ!」 レヴァンティンがカートリッジをロードし、刀身が炎に包まれる。あたかもシグナムの怒りを体現するかのように。 シュラがエクスカリバーをいかに誇りに思っていたか、紫龍の話だけで察するに余りある。 武器も技もただの道具としか考えられない輩に、その誇りが弄ばれている。聖闘士と騎士の違いはあれど、同じく剣に誇りを持つ者として、シグナムに見過ごすことなどできない。 「貴様のまとう黄金聖衣、早々に聖闘士たちに返してもらおう」 犯罪者の手に落ちた聖剣と、正義の騎士が振るう炎の魔剣が激突する。 安全装置を解除したゼストの槍の性能と、ユニゾンによる負担の分担によって、シグナムは光速に近い速度を出せるようになっていた。 最高速度はフェイト、なのは、キャロの支援を受けたエリオにわずかに劣る。だが、機動力では、なのはを抜いて三番手に位置し、攻撃と防御、速度のバランスはもっとも取れている。 常人には視認できない速度で、二人は斬り結ぶ。レヴァンティンの炎とツインブレイズの光だけが長い尾を残し、まるで湖の上で炎と光の竜が暴れ狂っているかのようだった。 シグナムはツインブレイズを的確に捌いていく。時折、刃が掠め肌を浅く切り裂くが、戦闘の趨勢に影響するようなものではない。 通常の斬撃だけで勝てるだろうと高をくくっていたディードだが、シグナムの技の冴えに思わず目を見張る。 「私の方が速いはず…………なのに、どうしてついてこられるのですか!?」 ツインブレイズを左右から挟み込むように振るう。シグナムは両腕の武器で受け止めると、すかさずディードを蹴り飛ばす。 「生憎と、自分より速い敵を相手にするのは慣れていてな」 長年フェイトと競い合ってきたおかげで、スピードで勝る相手にどう対処すればいいかは、頭と体に叩き込まれている。 まして、ディードがツインブレイズを実戦で使うのはこれが初めてだ。ナンバーズは戦闘データの共有ができるらしいが、長剣を装備している者は他にいない。ただでさえ習熟の難しい二刀流だ。ディードの剣技は拙さこそないが、動きが素直で読みやすい。 剣の騎士の二つ名を持つシグナムの技量があれば、速度の差は埋められる。いっそでたらめに振りまわしていた方が、シグナムは苦戦しただろう。 「それなら――」 ディードが双剣を大上段に振りかぶる。最大威力でデバイスごと両断するつもりだ。 「エクスカリバー!」 「レヴァンティン!」 シグナムの剣がツインブレイズの横腹を叩き、強引に軌道を変える。 紛い物でも、エクスカリバーの切れ味は侮れない。シグナムに防御の手段はなく、斬撃の軌道をそらすか、かわすしか選択肢はない。 ディードがエクスカリバーを織り交ぜながら攻め立ててくる。 シグナムにしてみれば、防具もなしに真剣で斬り結んでいるようなものだ。一手でも読み違えれば、即命取りとなる。それをこれまで経験したことのない光速の領域で実践せねばならない。 シグナムは激しい怒りを感じる一方で、ぎりぎりの緊張感に心が躍るのを抑えられなかった。 「エクスカリバー!」 横一文字に振るわれた聖剣を、今度は急上昇してやり過ごす。 「言ったはずだ。お前に聖剣を扱う資格はない」 シグナムがディードを見下ろしながら厳しく言い放つ。 人が武器を持つのは、素手以上のリーチと殺傷力を得られるからだ。しかし、その代償に動きは多少なりとも制限されてしまう。 素手でありながら武器以上の切れ味を持ち、拳圧によって離れた敵を攻撃できるエクスカリバーは、究極の一つの形だ。 ディードは武器によって威力は補えたが、斬撃が大振りとなり、聖剣本来の使いやすさを捨て去ってしまったのだ。 「お前の剣には魂がこもっていない。そんなもので、私を倒すことはできん」 「おかしなことを言いますね。ツインブレイズはデバイスではありません。魂がなくて当然ではないですか」 「そういう意味ではない!」 ディードがツインブレイズを強く握りこむ。それがエクスカリバーの前兆であると、シグナムはすでに看破していた。 シグナムは最大速度で敵の懐へと飛び込み、今まさに振り下ろされようとしていたディードの両腕をゼストの槍ではね上げる。 「これで終わりだ」 レヴァンティンの炎が唸りを上げて逆巻く。 「紫電一閃!」 袈裟がけの一閃が炸裂し、ディードを炎が呑みこむ。 剣に乗せられた魔力が黄金聖衣を突き抜け、内側に取り付けられた機械を砕く。 勝利の手応えを感じた瞬間、炎を突き破りディードのつま先がシグナムの両脇を引っかけた。 「これは――」 シグナムの体が減速せずに、ディードに引っ張られるように加速していく。単純な拘束に見えるが、どうやっても外すことができない。 シュラの使うもう一つの技、ジャンピングストーン。相手の勢いを利用して吹き飛ばすカウンター技だ。 ディードから次々と黄金聖衣が離れていく。ディードは聖衣が完全に失われる前に、最後の執念で技を発動させたのだ。 「なるほど」 シグナムは相手の顔を見上げるが、すでに昏倒した後だった。 騎士であるシグナムの盲点だった。まさか最後に頼るのが、剣ではなく足技だとは。 「お前は聖闘士でも騎士でもない…………だが、戦士ではあったのだな」 シグナムのように己の武器や技に誇りを持つ者がいる一方で、武器も技も、己自身すら道具と割り切る者がいる。両者が相容れることは決してない。ただ強さで、己の正しさを証明するのみだ。 「見事だ。次はお互い、借り物なしで手合わせ願いたいものだな」 シグナムは不思議と穏やかな心境で、敵の勝利への執念を称賛する。 「シグナム!?」 シグナムからアギトが分離する。ゼストの指輪を抱え、アギトは戸惑いの声を上げる。 「行け。お前の使命を果たせ!」 アギトの眼前で、シグナムの体が光速で蹴り上げられ、岸壁へと叩きつけられた。 現場にヴィータとリインが到着した時、戦闘はとっくに終わった後だった。 湖の岸辺に倒れたディードと、傍らに鎮座する黄金の山羊のオブジェ。そして、岸壁に深く穿たれた穴の底で、土に半ば埋もれるようにしてシグナムが横たわっていた。 アギトの姿はどこにもない。 「……シグナム?」 ヴィータがシグナムの隣に立ち、顔にかかっていた土を払ってやる。 「おい、起きろよ」 シグナムの表情は穏やかで眠っているようにしか見えない。しかし、よほど深く傷ついているのか、呼びかけても反応はない。 すでにこの結果は、アースラから伝えられていた。それでも実際にこの目で見るまでは信じたくはなかった。 傍らのリインは口元を押さえて瞳を潤ませている。 「……またかよ」 ヴィータの足元に滴が落ちる。 脳裏に、ザフィーラとシャマルが闇に呑まれた姿が、子供の様に泣きながら倒れたはやての姿が蘇ってくる。 「どうして……」 ヴィータは己の手を見つめた。記憶はさらに過去にさかのぼる。八年前、ヴィータの目の前でなのはが撃墜された。なのはの血で赤く染まった掌を、ヴィータは一日たりとて忘れたことはない。 ヴィータはあの日のなのはようにシグナムを抱き上げた。 「どうして私は、誰一人助けることができないんだよ!」 ヴィータの嘆きの声が、湖畔に響き渡った。 「ピラニアンローズ!」 「サンダーウェーブ!」 黒バラを貫き、瞬のネビュラチェーンが稲妻の軌跡を描いて飛ぶ。 「IS発動、ランブルデトネイター」 チンクが指を弾くと、貫かれた黒バラが爆発し、ネビュラチェーンの勢いを削ぐ。 「くっ!」 瞬はやむなく鎖を手元に引き戻す。 チンクが同時に四つの黒バラを投擲する。 「ローリングディフェンス!」 瞬の鎖がまるで竜巻のように回転し、黒バラも、続いて起きた爆風も全て吹き散らす。 都心から離れた場所に存在する研究施設。資材搬入用の大きな通路の中で、瞬とチンクは戦っていた。 「まさか、たった数日でランブルデトネイターを防げるようになるとはな」 「なのはさんたちのおかげだよ」 訓練の間、なのはやフェイトたちの砲撃魔法を受け続けたのだ。ネビュラチェーンが過剰反応しないよう闘志を抑えて攻撃できるのだから、六課隊長たちの実力はさすがだ。 瞬は呼吸を整えながら、チンクの攻略法を模索する。 ランブルデトネイターが強力な武器であることはわかっていたが、まさか強固な盾にもなるとは思わなかった。爆発で鎖を防ぐ様は、まるで炎でできた大輪のバラの盾だ。ネビュラチェーンは、バラの盾によってことごとく無効化されていた。 互いに攻防一体、否、防御の比重の方が大きい。ゆえに、戦いはどちらも決め手に欠けるまま、三十分が経過した。 六課のみんなには一時間という時間制限がある。もしもの場合に援護に行けるよう、これ以上ここで時間をかけるわけにはいかない。 瞬はコスモを燃やし、鎖を構えた。 死力を尽くして戦う二人の様子を、物陰からひっそりと窺う者がいた。兜についたサソリの尾が音もなく揺れる。 瞬が攻撃に意識を傾けた瞬間、ドゥーエは地面を滑るように動き出した。真紅に塗られたピアッシングネイルが、瞬の脇腹を狙って突き出される。 「なっ!」 突然の乱入者に、瞬だけでなくチンクまでもが驚く。 瞬のサークルチェーンが防御しようとするが、刹那の差で間に合わない。ドゥーエの爪が瞬に迫り―― ヒュッ。 風を切り飛来した金属片が、ドゥーエの爪にぶつかり動きを止めた。 「誰!?」 ドゥーエは手首を押さえて、誰何の声を上げる。金属片は鳥の尾羽のような形をしていた。 「盗人だけでは飽き足らず、一対一の真剣勝負に横槍を入れるとは、どこまでも見下げ果てた奴よ」 驚くほど攻撃的なコスモが顕現する。全てを焼き尽くす業火の様なコスモが、不死鳥の姿を形作る。 通路の奥から、眉間に傷を持つ精悍な顔立ちの男が歩いてくる。身にまとうのは、不死鳥の尾羽がついた白と濃紺の聖衣。 男を見て、瞬は喜びに顔を輝かせる。 「兄さん、やっぱり来てくれたんだね」 男は瞬にほのかに笑いかけると、一転して強烈な殺気をドゥーエに向けて放つ。 「貴様には、このフェニックス一輝が天誅を下してくれる!」 瞬の兄にして、青銅聖闘士最強の男、一輝がミッドチルダの大地に降り立った。 目次へ 次へ
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時空管理局の施設が爆炎に包まれる。木々がまばらに生えた山の中腹から、ディエチはその様を観察していた。 たったの一撃で施設を完全に破壊すると、ディエチはイノーメスカノンの調子を確かめる。不具合はない。改良は成功したようだ。 最初の任務を終えたディエチがジェミニの兜を脱ごうとすると、望遠機能が搭載された目が、遠くに敵影を捉える。 エリオとキャロが、木々の隙間を縫うようにして山を登ってくる。いつもと違う点はただ一つ、エリオが白いコートの前をしっかりと合わせていることだけだった。少しでも防御力を上げようという涙ぐましい努力だろう。 六課と聖闘士が迎撃に来るのはわかっていたが、よりによってあの二人かと、ディエチは思った。 竜のいない召喚士に、スピード重視の少年。はっきり言って、ゾディアック・ナンバーズの脅威足りえない。勝ち目のない戦いに子どもを送り込むなんてと、ディエチは柄にもなく六課の隊長たちに憤る。 「弱い者いじめは好きじゃないんだけどな」 まして相手は最年少の二人だ。ディエチはますます気が重くなる。 彼我の距離は、約三百メートル。とっと無力化して先に進もうと、ディエチはISでイノーメスカノンに麻痺性のガス弾を装填する。 ディエチは照準をエリオたちに合わせる。次の瞬間、ディエチの両目に、エリオの顔がアップで映っていた。 「なっ!?」 一瞬にして、距離を詰めたエリオのストラーダの斬撃が、イノーメスカノンを真っ二つに切り裂く。 ディエチは混乱したまま後ろに跳躍するが、エリオはぴったりとついてくる。多少のスピードアップは計算に入れていたが、いくらなんでも速過ぎる。 エリオの斬撃が、ディエチの脇腹に命中する。その速さはまさに光速。 (この短期間でコスモに、しかもセブンセンシズに目覚めた!?) ディエチはまさかと思いながらも意識を凝らすが、エリオからコスモは感じられなかった。 ストラーダが左肩に叩き込まれ、続けて三段突きが繰り出される。攻撃系の魔法は掛かっていないのか、斬撃は速いだけで軽く、刃が黄金聖衣を傷つけることもない。もっとも、光速で叩かれれば、衝撃だけでそこそこ痛いが。 ストラーダがカートリッジを排出する。ディエチははっとしてエリオのデバイスに注目した。 『Sonic Move』 ディエチの耳が、ストラーダの発する音声を拾う。 『Sonic Move, Sonic Move, Sonic Move……』 ストラーダは壊れた録音機のように同じ言葉を繰り返していた。 カートリッジを使用して、安全装置を解除した加速魔法の重ねがけを行っている。だが、それだけではまだ光速には及ばないはずだった。 ディエチはエリオの背後に視線を移した。 エリオよりだいぶ遅れて距離を詰めてきたキャロが、胸の前で両腕を交差させていた。 「我が乞うは、疾風の翼。若き槍騎士に、駆け抜ける力を。我が乞うは……」 量産型ストラーダによって加速されたキャロの口が、凄まじい速度で機動力強化の詠唱を繰り返していた。 エリオはソニックムーブだけでなく、キャロのブースト魔法の同時重ねがけを行っていた。乗算で加速したエリオは、ディエチに匹敵する速度を得ていた。 ストラーダから次のカートリッジが排出される。この勢いで消費していては、エリオのカートリッジはすぐに尽きてしまうはずだった。 エリオがコートを脱ぎ捨てる。赤いシャツの上にベルトが巻きつけられ、動きを妨げないぎりぎりまで予備のカートリッジが取り付けられている。 「僕たちは魔法の力を信じてる!」 エリオがまっすぐな瞳で叫ぶ。 「フェイトさんが、なのはさんが教えてくれた魔法の力は、どんな相手にも通用する。僕たちがそれを証明してみせる!」 エリオは攻撃を継続しながら、流れるような動作で新しいカートリッジを装填する。 一時間どころか三十分も持たないであろう、限界をはるかに超えた魔法の使用。 たかだか十歳の少年が、信じられないくらいの負荷にさらされていた。こうしている今も、エリオの骨も筋肉も神経までもが軋みを上げている。体が燃えるように熱い。まるで全身の血液が沸騰してしまったかのようだ。 「なんて無茶を! 君たちの隊長は、こんなことを命じたのか!」 劣勢に立たされた自分の立場も忘れ、ディエチは義憤に駆られる。 「違う!」 強い否定の言葉が返ってくる。 「これは僕たちの意思だ!」 詠唱を止めることなく、キャロもエリオの言葉に頷く。 六課のみんなを、大切な人たちをも守る為に、エリオとキャロは二人でこの方法を考えた。 最初に作戦を相談した時は、フェイトに泣きそうな顔で叱られた。 どうやら、フェイトは今回の作戦にエリオとキャロを参加させないつもりだったらしい。熱心に除隊を勧められたが、エリオとキャロは頑として譲らなかった。フェイトを悲しませたことにエリオとキャロの心は痛んだが、仲間の役に立ちたいという思いが勝った。 フェイトは最後まで渋っていたが、最後には出撃を許可してくれた。一人前だと認められたようで、それがどれだけ誇らしかったか。 「僕たちは勝つ。勝って、みんなのところへ帰るんだ!」 大上段からの一撃がジェミニの兜を叩く。強度で劣るストラーダの刃先がわずかに欠けた。 (ごめん、ストラーダ) エリオは胸中で謝る。スピードアップに全魔力を注ぎ込んでいるエリオに、攻撃魔法を展開する余裕はない。 真・ソニックフォームとバルディッシュの攻撃力を両立させるフェイトは、やはりまだ手の届かない存在だ。 だが、キャロと二人なら、いつか届くかもしれない。力が足りないなら、知恵を使え。それでも足りないなら、誰かと力を合わせれいい。それがなのはから教えられたことだった。 なのはとフェイトが予測した通り、ディエチの専門は狙撃、砲撃であり、クロスレンジの技術はたいしたことない。エリオは果敢に攻めていく。 しかし、追い詰められているのはエリオたちの方だ。 黄金聖衣に斬りつけるたびに、反動でエリオの両腕に痛みが走る。このままではいつか腕が壊れるだろう。ブースト魔法の重ねがけをしているキャロの顔色も、蒼白となっている。 エリオの肉体に、キャロの体力に、ストラーダ。どれか一つでもなくなれば、この均衡は瓦解する。それまでにディエチの隙を作りだし、決定打を与えなければならない。 広いドーム状の施設で、キャンサーの聖衣をまとったクアットロが、退屈そうにコンソールをいじっていた。聖衣に取りつけた白いマントが空中ではためく。 敵はろくに戦う素振りも見せず撤退してしまった。施設のコンピュータ制圧も、じきに終わる。 「せっかく思う存分楽しめると思ったのに、残念ですわ」 甘ったるい口調で呟く。しかし、それは猛毒の甘さだ。 クアットロはずっと不満に思っていた。もし自分に戦闘能力があれば、もっと完璧に作戦を遂行してみせるのにと。 その願いは、キャンサーの黄金聖衣が叶えてくれた。もう馬鹿な姉妹たちのご機嫌伺いする必要ない。望むとおりに行動し、ドクターの夢を実現させることができる。 クアットロは人差し指の先を眺める。人の魂を冥界に送る技というが、クアットロはただの比喩表現だろうと思っていた。守護騎士の一人シャマルが、相手のリンカーコアを直接抜き出すことができる技を持つが、おそらく同じような原理で敵を殺すのだろう。 実際は、本当に魂を冥界へと送り込んでいるのだが、所詮機械の力を借りて技を再現しているクアットロにそこまでの理解はできなかった。 転送用の魔法陣がドームの中央に出現し、濃緑の聖衣をまとった少年が現れる。 「あら。私の相手はあなたですの? ドラゴン紫龍」 「俺のことを知っているのか?」 「ええ、ほんの一部だけですけど、あの十二宮の戦いは見せてもらいましたから。では、こちらも名乗らせていただきます。私はクアットロ。あなたを冥府にお連れする者です」 クアットロはマントを翻し、いきなり人差し指を突きつける。 「積尸気冥界波!」 紫龍がその場から飛び退く。 クアットロは勝利を確信した。積尸気冥界波の効果範囲の広い技だ。その程度移動したところで、意味はない。 「やはり劣化コピーだな」 しかし、紫龍は積尸気冥界波を回避していた。 「そんな、どうしてですの!?」 「どうやら巨蟹宮の戦いは見ていなかったようだな。知らないなら、教えてやる。デスマスクを倒したのは、この俺だ」 キャンサーの黄金聖闘士デスマスクは、力こそ正義という信念を持ち、己の正義の為なら無関係な人々の命を平然と犠牲にする外道だった。デスマスクの非道な行いは紫龍の逆鱗に触れ、冥府の底へと叩き落された。積尸気冥界波はとうの昔に見切っている。 「そう……では、これならどうかしら」 クアットロの姿が幾重にも分身する。クアットロのISシルバーカーテンだ 「幻影か」 紫龍は目を閉じ、コスモを探った。だが、全てのクアットロからコスモが感じられた。 「まさか!」 「この度、私の銀幕芝居に、コスモという新たな演者が加わりました。では、お客様、私の舞台で存分に踊って下さいまし!」 数十体にも分身したクアットロたちが、芝居がかったしぐさで一礼する。 紫龍は集中して本体を見極めようとするが、音も気配も、完全に再現している。 シルバーカーテンの情報は事前に知らされていたが、まさかこの短期間でコスモすら惑わすとは、恐ろしい技術力だった。 クアットロたちが一斉に技を放つ。シルバーカーテンは積尸気冥界波の気配まで再現していた。 紫龍は勘だけを頼りに走る。 「ぐっ!」 引き裂かれるような痛みに、紫龍は聖衣の上から胸を押さえる。どうやら積尸気冥界波が掠めたようだ。 「また外してしまいました。でも、まったくの無駄というわけでもなさそうですわね」 積尸気冥界波は魂を直接攻撃する技。冥府に送ることができなくとも、掠めれば魂を傷つける効果はあるようだ。 「では、徹底的に痛めつけてあげましょう、積尸気冥界波!」 追い立てられるように、紫龍は走る。走りながら、クアットロたちに攻撃を仕掛けるが、拳はむなしく空を切るばかりだった。 「ああ、もう、あんまり動かないでくださる?」 焦れたように言うと、クアットロたちが一斉に動き出し、あらゆる角度から拳を繰り出す。三人目までを回避し、四人目の攻撃が盾をすり抜ける。 「外れですわよ」 クアットロのハイキックが紫龍のこめかみに当たる。 すぐさま反撃するが、その時には本体は幻影に紛れていた。 「いつもなら幻影とだけ踊っていただくのですけど、今日は出血大サービス。本物の私も一緒に踊って差し上げますわ!」 紫龍のこめかみから一筋の血が流れるのを見て、クアットロは艶然と微笑む。 「あら、ごめんなさい。出血するのはあなたの方でしたわね」 紫龍の周囲ではクアットロたちが踊るように跳ねまわり、実体の位置を悟らせないようにしている。 「フフフフ、こんなに美女に囲まれて、まるで殿方の夢、ハーレムのよう。素敵!」 最後だけ、やけにハイテンションでクアットロたちが叫ぶ。 クアットロたちの高笑いがドーム内に反響している。夢は夢でも、まさに悪夢のような光景だった。 紫龍は滝のような汗を流しながら、クアットロの集団に包囲されていた。 本体と幻影の見極めがつかないのでは、実際に何人ものクアットロと相手にしているのと変わらない。紫龍の疲労は深刻だった。 「まったく聖闘士というのも愚かなものですわね」 クアットロが嘲るように言った。 「なんだと?」 「基本一対一? アテナが武器を嫌うので、己の肉体のみを武器として戦う? くだらない。武器なんて使えるだけ使えばいい。敵は多人数でなぶればいい。これが最も効率の良い戦法ですわ」 ライブラの武器の威力は、セッテが証明してくれた。例外的に武器の使用が認められている聖闘士もいるが、聖闘士全員が武器を持てば大幅に戦闘力を向上させられる。地上の平和ももっと守りやすくなるはずだ。 「あなただってそうですわ。コスモの真髄、セブンセンシズに一度ならず目覚めながら、まだ満足に使いこなすことができない」 「…………」 「もしドクターに忠誠を誓うのなら、この機械を分けてあげてもいいわよ」 クアットロは胸部装甲の裏側の結晶型の機械を指差す。聖闘士のサンプルも一人くらいいた方が、ドクターの研究がはかどるだろうと考えてのことだった。 「あなたは最下級の青銅聖闘士から、一気に黄金聖闘士にだって昇格できる。このチャンスを逃す手はなくてよ?」 「哀れだな」 紫龍が目を細めた。 「哀れ? この私が? 今最高に幸せですのに?」 「貴様ではない。キャンサーの黄金聖衣だが」 クアットロは人をなぶることに、明かに愉悦を感じている。正義を守る為の聖衣でありながら、何故キャンサーはかくも外道と縁ができてしまうのか。 これまで積尸気冥界波によって葬られた人々の怨念か。あるいは、指先一つで魂を弄ぶ超常の技が、人を外道に堕としてしまうのか。 「効率が良いか。確かに貴様の言うことにも一理ある。だがしかし!」 ドラゴンの聖衣が離れ、紫龍の鋼のように鍛え上げられた上半身が露わになる。 「ちょっと! レディの前でいきなり脱がないでくださる!?」 「す、すまない」 思いがけないクアットロの初心な反応に、紫龍は思わず謝ってしまう。 クアットロは深呼吸し紅潮した頬を静める。 「で、聖衣を脱いだってことは、降伏の証と思ってよろしいのかしら?」 「教えてやろう。道具に頼り、努力を怠った力に何の価値もないのだと!」 紫龍の黒髪が波打ち、背中に龍の姿が浮かびあがる。 強力な聖衣を装着していれば、心に油断が生じる。あえて背水の陣に身を置くことで、紫龍はコスモを最大限まで燃え上がらせる。 クアットロには理解できない、不効率の戦い方の極みだ。 「本当にアナクロですのね。根性論で勝てるなら、誰も苦労しません。一撃で葬って差し上げますわ!」 コスモは肉体強度を上げてくれるわけではない。聖衣なしで光速拳など命中したら即死だ。 クアットロたちの拳が迫るが、紫龍は目をつぶり微動だにしない。 幻のクアットロたちが次々と紫龍をすり抜けていき、十二番目に本物が紫龍の心臓めがけてストレートを放つ。 紫龍はその拳を、わずかに体をそらすことでかわした。 「ふん、まぐれですわ」 クアットロが後退して、幻影にまぎれる。だが、どんなに巧妙に幻影に紛れようと、紫龍の目はしっかりと本体を捉えていた。 「そんな、どうして!?」 クアットロがうろたえる。 「貴様のシルバーカーテンは、よくできている。だが、生物に特有の揺らぎまでは再現できていない」 攻撃に移る時、コスモにわずかに殺気が混じる。今は本体を見破られた動揺で、コスモが揺らめいている。ほんのささやかな揺らぎだが、コスモを高めた紫龍にはそれがはっきりと感じ取れる。 クアットロが及び腰になる。幻影を見破られては、クアットロに勝機はない。撤退の方法を必死で考え始める。 「女に手を上げるは本意ではないが、貴様のような外道にこれ以上、黄金聖衣を弄ばせるわけにはいかん。くらえ、廬山昇龍覇!」 廬山の大瀑布をも逆流させる紫龍の右拳が、クアットロの胴体に炸裂する。クアットロは天井を突き破り、空高く打ち上げられる。 しかし、勝利したはずの紫龍の顔は、苦渋に満ちていた。 クアットロの姿が、青空に溶けるように消失してしまう。 「詰めを誤ったか」 紫龍は悔しげに右拳を握りしめる。おそらく紫龍が本当に殴ったのは、肩のあたりだろう。 最後の瞬間、クアットロは己の姿を透明にし、その上にわずかにずらして幻影をかぶせたのだ。さしもの紫龍もそこまでは気がつかず、おかげで廬山昇龍覇のダメージが浅くなってしまった。 「逃げ足だけは一流だな」 紫龍は身を翻し、急ぎクアットロの後を追った。 ストラーダが黄金聖衣の表面を叩き続ける。 (聖衣が動かない! どうして!?) 山の中を必死に逃げ回りながら、ディエチは心の中で叫ぶ。 最大級の破壊力を実現したイノーメスカノンの調整に手間取り、ディエチはほとんど格闘戦の訓練を行っていない。 もし接近されたとしても、聖衣から戦闘データを引き出せば、離脱くらいはできるだろうと安易に考えていた。 だが、機械は作動しているのに、聖衣は戦ってくれない。ディエチは、露出した顔や首、二の腕を守るので精一杯だった。 (まさか、機械の故障?) それはあり得ないと、ディエチもわかっている。もし機械が故障すれば、聖衣の意思は正常に戻り、偽りの主であるディエチから離れていくはずだ。 (だったら、どうして?) ディエチは知らない。 ジェミニの黄金聖闘士サガは、類稀なる頑健さを持った男だった。敵の攻撃をもろともせず、圧倒的破壊力で敵を蹴散らす、まるで重戦車の如き戦い方。 その頑健さは、サガの天性の素質と、たゆまぬ修練によって得たものだ。サガほどの頑健さを持たぬディエチが、その戦い方を真似たところで、ただ防御と回避ができなくなるだけだった。 満足に戦えず、エリオはどこまでも喰らいついてくる。ストラーダの刃こぼれはさらに増え、まるでのこぎりのようになってしまっている。 ディエチが、キャロから離れブースト魔法の範囲外に出ようとすると、エリオが進行方向を塞ぐ。逆にキャロを先に倒そうとすると、キャロがエリオの背後に回るように動く。 これまでの訓練で培われた二人の連携に、ディエチは反撃の機会をつかむことができない。 ディエチは己の思い違いにようやく気がついた。目の前の二人は、無力な子どもなんかじゃない。一人前の魔導師なのだ。 エリオの気迫、覚悟、想いの強さに、ディエチはさらされる。それは極限状態に置いて発揮される命の輝きそのものだった。 ディエチはこれまで遠くから敵を狙い撃つばかりで、接近戦をしたことがない。命懸けの戦いがどれほど怖いか、ディエチは今初めて知った。 「う、うわぁあああああああああああっ!」 恐慌状態に陥ったディエチが、闇雲に腕を振りまわした。偶然、ディエチの腕がエリオに当たり弾き飛ばす。 ディエチは恐怖に突き動かされるまま、両腕を頭上で交差させた。 「銀河の星々と共に砕け散れ!」 ジェミニ最大の奥義が炸裂しようとする。 「ギャラクシアン――」 エリオは残っていたカートリッジをベルトごと破棄する。どんなにわずかでも、軽くなれば最高速に達する時間は短縮できる。 「はあああああああっ!」 ストラーダのノズルが火を噴き、エリオが飛翔する。全身全霊のエリオの突きが、ジェミニの胸部装甲に直撃した。 「かはっ!」 衝撃で、ディエチの肺の中の空気が全て押し出され、息が詰まる。 (ありがとう、ストラーダ) 澄んだ音を立てて、ストラーダの刃が粉々に砕け散る。 砕けたのはストラーダの刃だけではなかった。衝撃に耐えかね、酷使され続けたエリオの右腕の骨も折れていた。握力のなくなった手から、ストラーダが滑り落ちていく。 ソニックムーブが解除されるが、ディエチの動きも止まっている。エリオは残った魔力を電気に変換し、左腕にまとわせる。 「猛きその身に、力を与える祈りの光を!」 視線すら交わしていないのに、キャロはエリオの意思を汲み取ってくれていた。打撃力強化の魔法が、エリオの左腕に宿る。 敵わないなとエリオは思う。大切な人を守れる男になりたいのに、自分の周りには強い人ばっかりで、支えられてばかりいる。 (でも、いつかきっとそんな男になってみせる!) エリオは誓いを込めて左拳を握りしめる。 「紫電一閃!」 電撃をまとった左拳で、ディエチを殴りつける。左腕の骨も折れるが、構いはしない。どうせ体中激痛だらけだ。エリオはさらに踏み込み、折れた左腕を体ごと押し付ける。 電撃が黄金聖衣を貫き、取りつけられた機械がひび割れる。 昏倒したディエチからジェミニの黄金聖衣が離れ、善と悪の人間が背中合わせになったオブジェへと戻っていく。 エリオとキャロの勝利だった。実際の戦闘時間は二十分にも満たないが、エリオにとっては永遠にも等しい死闘だった。 エリオはゆっくりとキャロを振りかえった。 「帰ろう、キャロ。フェイトさんのところへ」 「うん」 エリオはにっこりと笑いかけ、そのまま意識を失い前のめりに倒れていく。キャロが駆け寄ってエリオを抱きとめた。 「お休みなさい、エリオ君」 キャロの膝の上で、エリオはあどけない顔で眠る。疲れ果て、肉体はぼろぼろでも、その顔は使命を果たした喜びに満たされていた。 目次へ 次へ
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リリカルケロロ軍曹STS クロス元:ケロロ軍曹 最終更新:08/09/23 プロローグ 第1話「ケロロ、めぐりあい研究施設。であります!」 第2話「ケロロ小隊、散らばっちゃった。であります!」 第3話「ギロロ、魔導師の資格あり。であります!」 拍手感想レス TOPページへ このページの先頭へ
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その日、機動六課ではフェイトの指示のもと、いつも通り訓練が行われていた。 しかし、エリオとキャロは戸惑っていた。 内容自体はいつもと変わりないのだが、どれもかなり軽減されている。いつもの訓練がフルマラソンなら、今日の訓練は学校のマラソン大会だ。 「フェイトさん。午前の訓練はこれで終わりですか?」 エリオが質問した。 「うん。そうだよ。物足りない?」 「ええと……はい」 「もっと人数がいれば、それでもいいんだけど、今は四人しかいないから。何時でも出動できるよう備えておいて」 ファイトが優しく答える。 敵の数によっては長期戦も考えられる。疲れを残さず、かつコンディションを整えるとなれば、これくらいが適量だろう。 「待機も任務のうちだから。今のうちに覚えておいてね」 「はい」 その日の機動六課は、穏やかな時間が流れていた。 はやてたちが安倍家に到着した翌朝、六課の制服に着替えながら、はやては頭を悩ませる。はやてと守護騎士たちには、大部屋があてがわれていた。 「どないしたら、昌浩君、首を縦に振ってくれるやろ」 ヴィータは家の中をぶらぶらしているし、シャマルは家事の手伝いに行っている。リインはまだ夢の中だ。 「これ以上待遇向上もできへんし」 「主はやて。無理強いしても逆効果では?」 シグナムがやんわりと注意する。その横には、ザフィーラが座っている。 「せやかて他に手も……」 はやては何気なくシグナムに視線をやり、にやりと笑った。 「その手があったか」 「あ、主?」 視線はシグナムの胸に注がれている。嫌な予感がした。 はやてがワイシャツの上二つのボタンを外す。豊かな胸元がシャツの隙間から覗く。 「色仕掛けや! 純情な中学生くらい、おと……、もとい、お姉さんの魅力でイチコロや!」 はやてが勢い込んで立ちあがる。 「落ち着いて下さい!」 「ええんや。この際、出番が増えるんやったら、何でもやったる。私は本気やでー!」 首筋に冷やりとした感触が触れた。 「すまん、はやて。もう一度言ってくれ。よく聞こえなかった」 いつの間にか戻ってきたヴィータが、ハンマー型デバイス、グラーフアイゼンを突き付けていた。目が完全に座っている。 「まあ、今のは軽いジョークとして……何かええ手はないかな~?」 はやてはボタンをはめ直すと、いつも以上にきっちりと制服を着込んだ。 安倍家の食卓は、昌浩の母親とはやて、十二神将たちが腕によりをかけたので、とても豪華な物だった。 昌浩を加えた六課のメンバーで、にぎやかに食事をとる。 「朝からこんなに食べたら、太りそうね」 昨日の夕飯に続いて、朝食もボリュームがある。顔を引きつらせるティアナの横で、スバルが三杯目のご飯をお代わりしていた。 朝食が一段落したところで、はやてが口を開いた。 「調査の方やけど、まだ手がかりが少ない。しばらくはシャマルの広域探査に頼ることになると思う」 「任せて、はやてちゃん」 「後は地道に探すしかないけど、午前中はいつも通り訓練に当てようか。昌浩君に対魔導師戦も教えなあかんし」 「……別に必要ないんじゃないですか?」 ティアナがぼそりと言った。 「ティアナ、どういう意味や?」 「この場いるメンバーだけで戦力は足りていると思います。昌浩君をわざわざ巻き込む必要はありません」 「おい、ティアナ。それを判断するのはお前じゃねぇ」 「まあ、待て」 釘を刺すヴィータを、もっくんが押しとどめる。 「こういう時は、はっきり意見を言った方がいい。かくいう俺もずっとイライラしてたんだ」 もっくんは語調をがらりと変え、ティアナに向き合う。 「お前、昨日からちょくちょく昌浩を睨んでるな。どういう了見だ?」 「ティアナが? まさか」 ティアナと昌浩は間違いなく初対面だ。恨むような理由はないし、そもそもほとんど会話をしていない。だから、誰も気がつかなかった。 この場でティアナの視線に気がついていたのは、もっくんだけだろう。 「ティアナ。言いたいことがあるなら、はっきり言え」 ヴィータが強い口調で促す。人間関係の問題を放置すれば、今後の作戦行動に支障が出る。 「……私は昌浩君の実力を知りません。役に立つとは思えないんです」 「よっしゃ。実力がわかればええんやな。それなら模擬戦が一番や」 はやてが膝を叩いて宣言した。 展開された封鎖領域の中で、昌浩とティアナが向かい合う。 封鎖領域とは、空間を切り取り異界となす魔法だ。この中ならば、どれだけ暴れても現実世界に影響を及ぼさない。かつてヴィータが、なのはを襲撃した際に使用した魔法だ。 場所は安倍邸の庭にある森の中。手入れはしていないので、木々がうっそうと茂っている。 他のメンバーは、大広間でシャマルの映す模擬戦の映像を眺めている。 「本当にやるの?」 昌浩は赤い古めかしい赤い衣装に着替えている。安倍家の少年は戦う時はこの衣装に着替える風習があるのだ。 『ええい、そんな覇気のない様子でどうする! お前は舐められてるんだぞ。悔しいと思わんのか。遠慮はいらん。ぶっ倒せ!』 もっくんが映像越しに地団太を踏んで憤る。 『ティアナはバリアジャケットを着てるから、威力を抑えてくれたら、怪我の心配はない。存分にやるといい』 シグナムも一緒になって励ます。 『ティアナさんは模擬弾を使って下さいね。昌浩君、バリアジャケット着てないんですから』 と、リイン。 「わかってます」 ティアナは赤と黒を基調にした服に、白い上着を羽織っている。両手には二丁拳銃型デバイス、クロスミラージュが握られている。 『ルールは簡単。実戦形式で、どんな手を使っても、相手に先に一発当てた方が勝ちや。攻撃方法に制限はなし。ただし、もっくんは手を貸したらあかんで』 『ちっ』 『ほな、試合開始』 はやての合図と共に試合が始まる。 模擬戦を見守るはやてたち。そこに実家から戻ってきた、なのはがやってきた。 「封鎖領域なんて張って、どうしたの?」 「ティアナが昌浩にいちゃもんをつけてな。それでこれだ」 空間に投影された映像を、ヴィータは顎で示す。 「ふーん。どっちが勝つと思う?」 「ティアナだろうな」 ヴィータは迷わず言った。 いくら昌浩でも初めての魔導師戦だ。上手くやれるわけがない。 対して、ティアナは情報分析能力に優れている。手の内のわからない相手と戦うのは、彼女の得意分野だ。 「と、言うより、あれだけ鍛えてやったんだ。これくらい勝ってもらわないと困る」 「それもそうだね。ところでヴィータちゃん、ここお願いしていいかな?」 「用事でもあるのか?」 「うん。せっかくだから、決着をつけておきたいと思って」 封鎖領域は広範囲に張られている。少しくらい本気で暴れても大丈夫だろう。 なのはは杖型デバイス、レイジングハートを起動させ、白を基調としたバリアジャケットに着替える。 なのはが振り向くと、身の丈ほどもある大鎌を持った青龍が立っていた。 血みどろの決戦が避けられたわけではない。ただ翌日に持ち越されただけだ。 「それじゃ、行こうか。青龍さん」 なのはと青龍が離れた場所に移動する。因縁の戦いの火ぶたが切って落とされた。 「臨める兵戦う者、皆陣列れて前に在り!」 昌浩の放った術と、ティアナの銃撃が正面からぶつかり合う。 ティアナは木陰に移動しながら、昌浩の様子を窺う。 相手も物陰に移動しているが、こちらの動きを把握せずに隠れているだけだ。どうにも素人くさい。 (陰陽師。データがないのは、やりづらいわね) デバイスもなしで使える魔法。どの程度のことができるのか、どんな隠し玉があるかわからない。 ティアナは木から木へと走りながら銃を撃つ。 「禁!」 昌浩が指で地面に線を引く。発生した力場が弾を防ぐ。 (防御力はありそうね) 持っている魔力がケタ違いなのだから、それも当然だ。反射神経も悪くない。 「裂破!」 昌浩が投げた紙が空中で白銀の鳥になりティアナに飛びかかる。ティアナは冷静に銃でそれを撃ち落とす。 散発的な攻撃を繰り返しながら、ティアナは段々相手の術の正体がつかめてきた。 音声や手で組んだ印で発動する魔法。必ず呪文を唱える必要があるだけ、瞬発力ではこちらに劣る。 はやてがあれだけ熱心にスカウトしていたから、どれだけ強いのかと思ったら、たいしたことはない。力任せなだけのアマチュアだ。 (一気にけりをつける) 昌浩がティアナを探して、開けた場所に進み出てくる。 その瞬間、昌浩を取り囲むように無数のティアナが出現した。 「幻術!?」 昌浩が驚愕に目を見開く。 無数のティアナが一斉に銃を構える。どれが本物か見分けようがない。 ティアナは勝利を確信しながら、銃の引き金を引いた。 「万魔挟服!」 弾が命中する寸前、昌浩の術が発動した。昌浩を中心に魔力の衝撃波が発生する。銃弾もティアナの幻霊もすべてがかき消される。 「そんな!」 ティアナは愕然とその場に立ちつくした。衝撃波はティアナを飲み込む寸前に消滅したが、それは運が良かっただけだ。あと一歩踏み込んでいたら、間違いなくやられていた。 昌浩がこちらを向く。 ティアナは脱兎のごとく走りだした。安全な場所に逃げ込むと、座り込んで動悸を鎮める。 (何なのよ、あの術!) 額から流れる冷や汗を拭い、ティアナは内心で毒づく。 いくつもの魔力光を同時に操ったり、あるいは、高火力で複数の敵をなぎ払う魔法なら知っている。しかし、今の術はまったく違う。 自分を中心に、あらゆる敵をなぎ払う魔力の衝撃波を放つ。有効範囲は半径十メートル。手加減しているはずなのに、ティアナの銃撃を相殺した。 全力で撃てば、どれだけの威力で、どれだけの範囲を誇るのか。 あれを破るには、ディバインバスターのような、高威力の攻撃で一点突破を図るしかない。 そんな魔法は今のティアナにはない。 (むかつく) ティアナは奥歯を噛みしめた。 昌浩はすべてを持っていた。 類まれな才能。優しい家族。隊長たちからも一目置かれている。 ティアナはそのどれも持っていない。昌浩を目の前にしていると、自分がたまらなく惨めになってくる。 実は、それはティアナの思い込みだ。天涯孤独ではあっても、才能を持っているし、隊長たちも認めている。しかし、それを実感できていないだけなのだ。 (絶対に負けない) 新しい作戦を構築しながら、ティアナは動き出した。 「ティア、大丈夫かな」 スバルが心配そうに相棒を見つめる。どうもティアナの様子がおかしい。変に思い詰めた表情をしているのだ。 「大丈夫ですよ。模擬戦なんだから、怪我の心配はありません」 リインがスバルを励ます。しかし、ピントがずれていた。 「それより……」 リインが後ろを振り向く。 「エクセリオンバスター!」 「剛砕破!」 桜色の魔力砲が大地を焼き、青い光弾が空に無数の花火を打ち上げる。立て続けに起こる爆音が、大気を震わせる。 なのはと青龍の激闘が続いていた。 「私、思ったんですけど」 リインにつられて背後を振りかえったスバルが、遠い目をした。 「能力限定解除した隊長たち三人がいれば、小さな世界の一つや二つ、簡単に滅ぼせますよね?」 リインはそれには答えなかった。 昌浩は早鐘を打つ鼓動を鎮めるべく、深呼吸を繰り返していた。 (危なかった) 幻術に囲まれた時は、もう駄目だと思った。呪文の詠唱がぎりぎり間に合ったが、一瞬早く撃たれていたら、やられていた。 それにあの術は、放った後に隙ができる。ティアナが距離を取ってくれたから助かったが、あの時撃たれていてもやられていた。 あの攻防で昌浩は二回死んでいた。 相手は強い。しかし、昌浩は段々戦いのコツがつかめてきていた。 ようするに、これはシューティングゲームだ。相手より早く目標を見つけ、先に撃った方が勝ち。 素早く木陰を移動しながら、ティアナの姿を探す。 やがて大きな岩の陰にティアナを見つけた。さっきまで昌浩がいた辺りに顔を向けている。昌浩は慎重にティアナの背後に回り込んだ。 「オンアビラ……」 昌浩が小声で詠唱する。その時、背筋に悪寒が走った。 「やっぱりアマチュアね」 声は背後から聞こえた。 振り向くと、銃を構えたティアナが立っていた。 銃声が森に響き渡った。 ティアナは勝利を確信していた。 幻術に惑わされ、昌浩は完全に不意を突かれた。呪文の詠唱中では、防御も間に合うまい。 模擬弾が命中し、土煙を舞い上げる。 「!」 煙を突き破って、魔力光がティアナに飛来する。 軽く突き飛ばされるような衝撃。しかし、予期していなかったティアナは、無様に尻もちをついた。 (どうして!? 絶対に勝ったはずなのに) ティアナは混乱する。 やがて煙が晴れ、昌浩の姿が現れる。 その隣に二十歳くらいの男が立っていた。十二神将、太(たい)裳(じょう)。中国の古い文官風の衣装をまとい、片目の下に銀の飾りをつけている。 通信画面が開き、はやてが顔を出す。 『勝負あり。昌浩君の勝ち』 「待って下さい。反則じゃないですか!」 ティアナは猛烈な勢いで、はやてに抗議した。 ティアナの一撃は、あの十二神将の結界によって防がれたのだ。それさえなければ、ティアナは勝っていた。 『最初に言ったやろ? 勝負は実戦形式で、どんな手を使ってもいい。ただし、もっくんの加勢はなし』 つまり、もっくん以外なら誰の手を借りてもよかったのだ。 「そんな……」 「えっと……」 呆然とするティアナと、決まり悪げな昌浩。 昌浩は最初から、はやての意図を呼んでいた。昌浩は普段タヌキ爺の晴明にいじられているので、引っかけ問題に強い。できれば、自分一人の力で勝ちたかったのだが、無理と判断し十二神将、太裳の力を借りたのだ。 「納得できません!」 ティアナはそれだけ言うと、荒い足取りで去って行った。 「あちゃー。失敗やったか」 はやては頭を抱えた。 はやてが昌浩を買っているのは、強いからだけではない。昌浩は自分に出来ないと判断したら、躊躇なく他人の手を借りられる。 何でも一人でやろうとするティアナに、その柔軟さを学んで欲しかったのだが、結果は大失敗だ。 昌浩とティアナの仲はますますこじれ、思いも伝わらなかった。 「ティアナは真面目だからな。こんな方法じゃ、怒って当然だ」 出来れば事前に相談して欲しかったと、ヴィータは不満顔になる。 「私、ちょっと様子見てきます」 スバルがティアナの元に走っていく。 入れ違いになのはが帰ってきた。青龍の姿はない。 「青龍さんは? まさか、なのはちゃん……」 シャマルの脳裏に、閃光の中に消える青龍の姿が浮かぶ。 「そんなことしないって。結局、引き分けでね。怒って帰っちゃった。模擬戦の結果はどうだったの?」 はやての説明を聞き、なのはも手で顔を覆う。 「それはまずいね。フォローしたいけど、余計なことはしない方がいいかも」 昌浩とティアナを同じ班にするのは避けた方がよさそうだ。後は時間が解決してくれるのを待つしかない。 「ティアナさん、待って下さい!」 「ティアナ殿、お待ち下さい!」 「落ち着いてよ、ティア!」 昌浩と太裳がティアナを追いかけ、頭を下げる。しかし、ティアナは聞く耳を持たない。スバルがどうにか間を取り持とうとするが、効果はない。 ティアナには、はやてが昌浩をえこひいきしたようにしか感じられなかった。怒りがどうにも収まらない。 「本当にごめんなさい! ティアナさんがそこまで怒るなんて思わなかったんです」 何度も何度も昌浩が必死に謝罪する。 「……はあ」 ティアナはため息をついた。 これでは年下の少年を苛めているようようだ。模擬戦の結果には納得していないが、昌浩にあたるのは大人げなかったかもしれない。 「そこまで謝らなくていい」 ティアナは立ち止まると、右手を差し出す。 「私もカッとなって悪かったわ。はい、仲直りの握手」 「ありがとうございます!」 心からほっとした様子の昌浩に、ティアナも和む。 「それにしても、あんたの術、すごかったわね」 「ティアナさんこそ。幻術には冷や冷やしました」 昌浩も右手を伸ばす。ティアナはふと疑問に感じた。 「そう言えば、あんたの術……万魔挟服だっけ。あれって味方が近くにいたら、使えないわよね。そういう時はどうするの?」 「それなら大丈夫。あれ、敵味方識別できますから」 つまり味方の中心で使っても、敵だけ殲滅できるのだ。 ティアナの手が、昌浩の手をすり抜け、その首をつかむ。 「ふざけんな! このチート野郎!!」 渾身の力を込めて、昌浩の首を絞め、さらに前後に激しく揺さぶる。 「何、あんた、サ○バスターなの? サ○フラッシュとか叫ぶの!?」 「ティ、ティアが壊れた!」 スバルと太裳が必死に抑えるが、ティアナの狂乱は止まらない。それは、駆けつけたなのはたちが、ティアナを気絶させるまで続いた。 目次へ 次へ
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プロローグ 闇夜に輝く凶星 それは…忌まわしき、闇の書事件から1年後の冬の話 時空管理局…それは、様々な時空間で起こる犯罪を防止し、また起こしたものを見つけ出し逮捕することが仕事である。 そこでは時空間におけるありとあらゆるトラブルを見つけ出すことが可能とされている。 「あーあー、なんで新入りの私たちが留守番で、なのはたちが休暇なんだよ」 ヴィーダは足を机にのせて、管制塔の窓から外を見ている。 「仕方ないでしょ。あなた達のせいでずっとあの二人は働きづめだったんだから」 エィミィは文句を言っているヴィータにきたいして強くいってきかす。 それでもヴィータは文句をいい続けている。 他のシグナムやザフィーラたちは、今は他の業務にへと当たっていた。仕事に慣れるにはいいことだろう。 これは、早く仲間として打ち解けあうようにと考えた、はやてからの提案である。 突然、管内に音が鳴り響く。 「わぁ!!」 その音に思わず、イスから転げ落ちるヴィータ。 「なにがおきたの!?」 エィミィが画面を見る。そこには考えられない次元の乱れが生じている。 「なんなの?これ…」 一方その頃…。 「なのはは今年の冬はどうするの?」 「うーん。クリスマスパーティーが家のと管理局のでかぶっちゃってるんだよね」 寒い風が吹く夜の街を、フェイト・T・ハラオウンと高町なのはが歩いている。 学校と魔法世界での二重生活を始めてもうすぐ、二年がたとうとしていた。 まるで夢のような出来事が、ずっと続いている。 魔法を使えるようになり、そして恐ろしい怪物と戦って、フェイトちゃんや、はやてちゃんとであった…。 いろんな人に出会い、様々な経験をした。 今日も何事もなく時間だけがすぎていく。世界は平和に満ちている。 あたりはクリスマスの色に包まれていた。街路樹に光がともり、サンタさんが風船を配っている。 フェイトは、そんな町の風景が気になるのだろうか、目を輝かしている。 それもそうだろう。 まだフェイトちゃんにとってはすべてが目新しいはずだ。 今まで彼女の母親がフェイトちゃんを統制していたのだから。 「フェイトちゃん、ひとつもらっていこっか?」 「え…」 自分の珍しい視線が見られていたことを知って、恥ずかしさに頬を染めるフェイト。 だがそのフェイトの手をひいて、なのはは駆け出していた。 「あんな、かわいい子が…強力な力を持つ魔法少女ねー。人は見た目に寄らないもの…か」 白髪で狐目の鋭い瞳をした小柄な男子が二人の後ろを見ながら唱える。 その格好はどこにでもいる普通の学生のようだ。 彼が片手に持つ一つの本。 それは『蠅の王』である。 「人間って言うのは、自分達の世界だけじゃ飽きたりない傲慢な生き物だよね。まったく」 その少年は邪悪に満ちた笑みを浮かべ、頭上を見上げる。 …その黒い夜の闇の中。 月の輝きの隣に赤く禍々しい色をした星がそこにあることを誰も知らない。 「祭の邪魔は誰にもさせないよ…」 目次へ 次へ